ワイルドストロベリーのスコーン
Wild strawberry scone
19回目の「mslab 干支のお料理」をお届けします。
2013年は難関の巳年。12年前は沖縄の海蛇=イラブーで乗りきりましたが、他に蛇がらみの料理や食材はあるのか?
ふと思いついたのが「ヘビイチゴ」。40代・50代以上なら、登下校の途中やハイキングの道すがらなどで、一度は口にしたことのある方も多いのでは。 調べてみると、ヘビイチゴはバラ科の野草で、食べられるがあまり美味しくないとのこと。私たちが子どもの頃、ヘビイチゴと呼んでいたのは、クサイチゴ、モミジイチゴなどの野いちご・木イチゴの類だったようです。 おまけに、名前のルーツをたどると「中国ではヘビイチゴを蛇苺と書き、美味しくないので蛇にでも食べさせればいいと、この名がついたと言われている」などと知ってしまっては、おっ先真っ暗。ヘビイチゴ料理は成立せずか…
諦めかけた時に検索に引っかかってきたのが「エゾヘビイチゴ」。北海道のヘビイチゴだろうと思っていたら、これがまったくの別種。学名は Fragaria vesca。英名はワイルドストロベリー(Wild Strawberry)で、私たちが普段食べている苺(オランダイチゴ)の原種だということが判明しました。これはいける! さっそく、洋菓子材料サイトで探してみると、あるではないか!冷凍のワイルドストロベリーが!セルビア産です。
考えてみたら、ウェッジウッド(Wedgwood)のティーカップの定番と言えば「ワイルドストロベリー」。こうなったら、紅茶と合わせて料理はスコーンしかありません。ジャムも作って添えました。生地に冷凍のままのワイルドストロベリーを混ぜるだけで、あとは通常のスコーンのレシピ通り。ジャムは少しだけ砂糖とレモン汁を加えて5分も煮込めば完成という簡単さでした。
お味は?ワイルドなだけあって、普通の苺より酸味がありますが、それが清々しさを感じさせてくれます。野性味のある美味しいスコーンになりました。
思えば2012年の流行語大賞はスギちゃんの「ワイルドだろぉ」でした。大飯原発の再稼働を強行したのは「ワイルドすぎる首相」といわれた野田佳彦。次の首相は気弱な割りにはワイルドを気取っています。 ワイルドな政治家は危ないだけなのでたくさんです。 一方、私たち自身は、少しワイルドさを取り返して、何か事あれば、噛みつき、叫び続ける必要があるのでしょう。ヘビの執拗さも見習いながら。
ヘビイチゴの甘酸っぱい清々しさが、ワイルドの大切さを思い出させてくれました。
2013年正月