1995年猪年、mslabの年賀状を飾った料理。
数年前より続いていた干支の料理による年賀状だが、猪は結構困ったものの一つだ。まず、材料が手に入らない。猪肉は、山梨や宮崎で食べたこともあるし、宮崎の出身の友人からは、皮付きのものを何度か送ってもらって猪鍋にして食べた。味噌味か醤油味で、猪肉と大根だけで食べるのだが、これは旨い!ところが、この時に限って、宮崎出身の友人が音信不通で、何処に行ったか判らなかった。
電話帳片手に、大きそうな肉屋に片っ端から電話をかけ、板橋に猪肉を扱っている店を発見。やっと干支の料理の素材を手に入れた次第。かつては、池袋西武などにも有ったような気がするが、この時期から急に超大衆路線を歩み始めた西武百貨店には猪肉を扱う余裕はなかったようだ。
手に入った猪肉は、おそらくレストラン用で、皮もなく、色も鮮やか。宮崎産のものに比べるとワイルドさが劣っていたが、猪は猪、包丁を握る手にも力が入ろうものか、と思いきや、どんな料理にすべきかで、またまた悩むことになる。
猪鍋じゃ能がないし、かといって他の料理は知らないし、というワケで紀伊国屋に走り、手に入れたのが柴田書店の「荒田西洋料理・野禽獣料理編」という厳つい料理本。しかし、あるある、この本には猪を始め、兎や鶉はもちろん、熊、トナカイ、雷鳥に至るまでフランス料理のレシピがびっしりと書き込まれている。フランス人の食に対する貪欲さに改めて敬服した。