兎肉の網焼き
Lapin grille
Bonne Annee ! フランス語の新年の挨拶で始まる今年は卯年。
うさぎ肉は、最近の日本ではポピュラーな食材ではありませんが、一昔前までは、どこの田舎でも日常的に食べられていた貴重なタンパク源です。今日でも、フランスやスペインなどでは一般的な食材として流通しており、その料理法も多彩。フランス料理の専門書を紐解けば、鞍肉と股肉の料理法の違いはもとより、野うさぎと飼うさぎで異なる料理法があるのに驚かされます。
さて、卯年の料理ですが、馴染みの薄いうさぎ肉の味を知るという原点から発想しました。Lapin grille。うさぎ肉の網焼きです。部位は股肉を使用しました。
塩胡椒してグリルするだけなので、レシピと言うほどの難しさはありません。一点だけコツを挙げるとしたら、焼く前に溶かしバターを全体に塗っておくことです。うさぎ肉の味わいは鶏肉にかなり近いものですが、より弾力があり、脂は少な目です。ですから少ない脂をバターで補い、同時に風味を加えると。
今回は、クレソンソースを添えてみました。青臭い香りが、やや淡泊なうさぎ肉にインパクトを与え、料理としてはたいへんバランスの良い味に仕上がりました。
さて、料理写真をご覧いただければ、皿の後ろに控えめに写るうさぎラベルのワインにお気づきでしょう。フランス・ブルゴーニュ地方の南端、ボージョレ・ヌーボーで有名なボージョレ地区で作られる白ワイン『2009 Beaujolais Blanc eleves en fut』。ぶどう種はシャルドネ100%です。
なぜうさぎのラベル?実は、生産者のニコラ・テスタール氏は自然派農業でぶどう栽培しており、そのぶどう畑には、たくさんのうさぎが生息しているそうなのです。
ヒット漫画『神の雫』を強引に解釈すれば、うさぎがたくさん生息する畑のワインはうさぎ肉と合うはずです!うさぎ料理とワインの新たなマリアージュを極めた自信はありませんが、2009 Beaujolais Blanc eleves en fut の豊かなミネラル感と、青リンゴ系の品の良い果実香、そして、微発泡のピリッとした味わいは、Lapin grille にピッタリだったと報告しておきます。
さてさて2011年、うさぎにあやかった三段跳びで、なにかにつけて白か黒かの二者択一を迫られる狭い価値観を突破して、多様性の中から自分にとっての新しいベストマッチングを探したいものです。
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