『23階の笑い』ニール・サイモン+三谷幸喜

コロナ禍。全座席をついたてで区切った厳戒態勢下、世田谷パブリックシアターで『23階の笑い』を観てきました。

アメリカで20世紀最大の喜劇作家として名高いニール・サイモン(1927~2018)作、演出は三谷幸喜。
風刺の効いた喜劇を堪能しました。

http://www.siscompany.com/23f/gai.html

時は1953年から1954年。舞台はニューヨーク、エンパイアステートビルを見上げるビルの23階だ。
そこはマックス・プリンスという人気コメディアンのオフィスであり、マックスを支える7人の放送作家の仕事場でもある。

マッカーシズムの嵐が吹き荒れる中、テレビバラエティも無関係ではいられなかった。
政治的なネタもコントに取り入れて大人気を博してきたマックスの番組は、テレビ局の上層部の受けが悪い。
放送時間短縮… あるいは打ち切り…
マックスと23階の仲間たちは、この危機を乗り越えられるのか… というのがネタバレしないギリギリの紹介です(笑)。

ニール・サイモン自身、1950年代に大物コメディアン、シド・シーザー門下で放送作家・コメディ作家として下積み時代を過ごしていて、自伝的作品とも言えます。

さて今回の公演、俳優さんたちは皆さん素晴らしい演技を見せています。
多分に好みが入りますが、わたし的には、梶原善、山崎一、松岡茉優が特に輝いて見えました。

特に山崎一演じるヴァルはスターリン下のソ連から逃げてきたロシア人放送作家(明言はしてないが亡命者か)という設定です。ということで、山崎さんは「ロシア語なまりの英語を日本語で演じる」という困難な設定に応えなくてはならない。この芝居は見事でした!

チームの中で一番の若手作家ルーカスを演じた瀬戸康史。他はことごとく暑苦しい演技(失礼!)という中で、清々しい芝居でしっかり極だってました。
演技力もさることながら、キャスティング、演出含めての勝利だと思います。
ニール・サイモンはルーカスに自らを投影したと言われます。
一方、三谷幸喜も本作を3年前に上演した『子供の事情』に続く自伝3部作の2作目と位置付けているそうです。「人のホンですけど」という但し書き付きですが(笑)。
おまけにニール・サイモン同様、一番若くて二枚目のルーカスに自らを投影してるとか… パンフレットを読んで、「それはいくらなんでも、おこがましいでしょ!」と突っ込みたくなりました(笑)。

真面目な話、1980年代に日本のテレビで活躍をはじめた三谷さんですが、その自伝とは見えなかったな~ マッカーシズム下のアメリカとは時代の厳しさが違う。

一方、偶然の一致だと思いますが、今この時期にマッカーシズムと闘った人々を描いた芝居を上演。
菅政権の学術会議任命拒否はミニマッカーシズムですよね!
それは小さなところから始まる… 心せねばと思いました。