『ワン・バトル・アフター・アナザー(One Battle After Another)』考

なぜ、『ワン・バトル・アフター・アナザー』と『桐島です』が並んでいるのか?
『ワン・バトル・アフター・アナザー』は、今年2026年のアカデミー賞で作品賞、監督賞などを受賞。いわゆるオスカー作品。
『桐島です』は東アジア反日武装戦線のメンバーで1975年の連続企業爆破事件の関係者として全国に指名手配されていた桐島聡が題材。その49年に渡る逃亡・潜伏生活を描いている。高橋伴明監督の日本映画。いわゆる実録ドラマ。
『ワン・バトル・アフター・アナザー』で、レオナルド・ディカプリオが演じたパットは、アメリカの左翼過激派組織「フレンチ75」(もちろん架空)のメンバーで爆破・工作のスペシャリストという設定。組織が警察に追い込まれていく中で同志のパーフィディア(演:テヤナ・テイラー)の娘ウィラを連れて潜伏生活を送っている。
日本封切り直後(2025年10月)に観ていたが、「なんだかな~」みたいなところがあって、ブログにも書いていなかった。ストーリーがあまりにも荒唐無稽。まさかオスカーを取るとは…
一方でディカプリオの役に既視感があった。元過激派で爆弾で追われ潜伏生活… 「これって桐島聡だよね」って。皆が皆そう感じたようではなかったようだが、私の大脳では間違いなく繋がっていた。
もちろん映画は全然違いますよ。
『ワン・バトル・アフター・アナザー』は完全なフィクション。配給サイドの自画自賛では、「逃走劇のフリをした闘争劇」だそうだ。
革命家もしくは元革命家のストーリーと書いてる記事もあるが、レーニンもトロツキーもチェ・ゲバラもホーチミンも間違いなく怒るだろう(笑)。
『桐島です』は実話ベースで、桐島聡の葛藤を軸に描いている。逃亡中の詳細は分かっていないのでフィクションをだいぶん織り込んではいるようだ。映画としては出来は、あまりよくなかったかな。最後の最後で関根恵子(高橋恵子)が出てきたのは、ちょっと感動的だった。しっかり伴明さんを支え続けている。
で、今ごろになって、『ワン・バトル・アフター・アナザー』について書こうと思ったのは、『桐島です』をやっと観たから。どちらも旬を過ぎてしまいましたが(笑)。
『ワン・バトル・アフター・アナザー』に戻ります。
パーフィディアを執拗に追う刑事がショーン・ペン。白人至上主義にも傾倒している。永遠の不良! 素晴らしい演技を見せた。ショーン・ペンのアカデミー助演男優賞だけは頷けたかな。
「悪人顔」と呼ぶ人もいる名優ベニシオ・デル・トロが、作品中で唯一とも言える人格者、空手の師範を演じている。好演だったが同じ2025年に公開された『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』(ウェス・アンダーソン監督)のベニシオの方が好みだった。
この映画、ほぼ間違いなく続編が来ると思います。
主な出演者はショーン・ペン以外全員生き延びてるし、思わせぶりなエンディング。そもそも騒ぎの発端を作ったパーフィディアにまったく決着がついていない。
Netflixの連続ドラマの途中の回のような終わりかただった。
それが見抜けてしまうような作品がオスカー? やっぱり納得がいかないなぁ~

