絞りたて生酒は、岩手から宇宙へと向かう発射台!?

1年に一度のお楽しみ。岩手、紫波(しわ)酒造店のしぼりたて生酒が来た!
3月3日の桃の節句に絞って、その日のうちに発送。普通なら蔵人しか味わえない超フレッシュな生酒を味わうことができる。
この季節、多くの蔵の生酒が出回っているが、まったくの“しぼりたて”にチャレンジしているのは全国でも数蔵だけだ。

紫波酒造店の「しぼりたて生酒」との付き合いは6年目。
これまでは、「今朝しぼり」と銘打って、「廣喜(ひろき)」ブランドの無濾過生原酒だった。ラベルデザインは桜の花をメインにしていた。
今年はマイナーチェンジ。ブランドが「紫宙(しそら)」に変わり、生酒とだけ記されている。多少加水してバランスを取ったようだ。「朝詰め直送便」と銘打ち、ラベルは“はやぶさ”がメインに変わった。

紫波酒造店には大きく2つのブランドがある。廣喜と紫宙だ。
廣喜は、酸基醴酛仕込みという乳酸菌を使う生酛系の醸造法が中心。
【酸基醴酛については、こちらを
酸基醴酛(さんきあまざけもと)を味わう
紫宙は乳酸菌を使わず、工業的に生産された乳酸を使う速醸法で醸す。
一般に、生酛系では酸味を含む複雑な味わいを持つ酒ができ、速醸法の日本酒はキレの良さを出しやすいとされる。

2026年の「朝詰め直送便」は、紫宙ブランドだが酸基醴酛仕込み。ちょっと例外的な扱いになっている。なぜか?は不明(笑)。
酒米は例年通りで、「ぎんおとめ」100%。岩手県農業研究センター(旧・岩手県立農業試験場)が開発した品種。上品な旨みと優しい果実香を出しやすいとされる。
酵母は、「ゆうこの想い」。岩手県工業技術センターが開発した。柔らかく温かみのある味わいを生むとされている。
精米歩合は55%だ。
「ぎんおとめ」「ゆうこの想い」「精米歩合55%」の組合せは、「廣喜 純米吟醸 磨き五割五分」と同じなので、これの超生酒版と言えるかもしれない。

で、能書きが長くなってしまったが、2026年、紫波酒造店のしぼりたて生酒はどうよ?って話をしなくては(笑)。
果実味・果実香と旨味が両立した素晴らしい出来だと思いました。米の香りは来なくて、フレッシュな果物感。ただ淡麗系ではなく、明らかに旨味が主張しています。これって何なの?柑橘ではない。葡萄でもない。桃でもない。そう、柿なんだよね!…と再認識。
人によっては、「甘口」と言うかも知れませんが、「これは旨口だ!」と主張したいです。
また今年も、良い経験をさせてもらいました!

それにしても、『紫宙』ってイイ名前。南部杜氏発祥の地とされる紫波からはるかかなたに広がる宇宙=宙(そら)をイメージしているらしいです。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』があるので、「岩手って、日本で一番、宇宙に近い場所」って思ってしまいます。
この一杯で宇宙に旅立てるとは思いませんが、発射台に立ったくらいには… もちろん、全木製の発射台です。