精米歩合90%の酒

大吟醸は50%以下、吟醸は60%以下。日本酒に用いる酒米の精米歩合だ。
米を磨く。要するに米粒の外側を削り取って棄てることで、雑味の少ない綺麗な酒を目指す。磨き上げることで果実香も出やすくなるとされる。
これが今も続く吟醸酒ブームの背景だ。

もちろん、ただ単に削れば美味しくなるわけではありません。そこが各酒蔵の杜氏の腕の見せどころとなります。

で、寺田本家、第2弾は吟醸ブームの真逆を行く酒、『香取』。

なんと、精米歩合90%(80%のものもある)。ご飯で食べる白米の精米歩合が92%とされるので、ほぼそれに近い。

「米の香りと味わいを生かして」などと銘打たれた純米酒でも70%くらいまでは磨いているのが普通。90%は驚きだ。

贅沢に米を磨くなんて技術も発想もなかったであろう江戸時代。日本酒の精米歩合90%程度だったとされる。磨いちゃったらもったいないし(笑)。
味は記録のしようがないので、「これが江戸時代の酒!」とは言えないが、嬉しい気分にはなる。

精米歩合90%の日本酒は飲みにくいか?
まったくそんなことはなくて、いわゆる切れ味も果実香もないけど、しっかり米の味。微妙に糠の香りがするかも知れない。色は日本酒本来のきれいな黄緑色。
そして、酸味。世に出回る山廃や生酛の名酒と比べても、やや強いかもしれないが、これは悪くない! 酸味は日本酒の旨さを支える重要な要素だ。

究極の日本酒! とは言わないが、山廃・生酛好きの酒飲みであれば、試してみる価値有り!
…と思いました。