生酒5年熟成の驚き

日本酒の生酒と言えばフレッシュさが命。新酒の季節に華やかな果実香をまとって続々と出てくる。
しかし…
数日前に入手した『玉川 自然仕込 純米酒(山廃) 2019BY 澱がらみ無ろ過生原酒』。
2019BYとあるので、酒造年度(Brewery Year)は2019年。製造年月は2024年8月となっている。生酒のまま瓶詰めし冷蔵倉庫で5年間寝かせて熟成。この夏、世に出てきたというわけ。赤ワインと同じような瓶内熟成と理解した。


酒蔵は京丹後の木下酒造。杜氏はフィリップ・ハーパー。オックスフォード卒のイギリス人で、日本唯一の外国人杜氏。
酒米は北錦。兵庫県の但馬、丹波地域に適した酒造好適米とされる。
アルコール度数は20度以上21度未満。日本酒としてはかなり高い。

“澱がらみ”なので。絞りたての日本酒に残る澱を除いていない。通常は、澱を沈ませて、上澄みだけを取って清酒とする。澱には旨味のもとになるアミノ酸などが多く含まれているため、澱がらみは清酒(一般的な日本酒)よりも複雑で濃厚になる。一方で、出来の悪い澱がらみは糠臭くなる。
他の酒蔵の澱がらみを飲んだこともあるが、玉川の澱がらみは、ひときわ澱が多い。うっすらと言うよりは、しっかりと濁っている(濁り酒とは製法が異なる)。

さて、『玉川 自然仕込 純米酒(山廃) 2019BY澱がらみ無ろ過生原酒』、その味わいは…
重量感があって、ワインで言えばフルボディー。
そして、5年も熟成させているのに、フレッシュさがある。果実系のフレッシュさではなく、米ぬかの香りのよい部分だけを引き出した感じ。
濃厚で複雑な味わい。だけどフレッシュ。矛盾する形容が並んでしまうが、旨い!

新しい出会いでした。

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