しぼりたて生原酒を味わう

小さな酒蔵の快挙に乾杯!
蔵人だけが味わえるしぼりたての生原酒を翌日に呑むという贅沢を経験しました。

どこの酒蔵でも、新酒と呼ばれるものは“しぼりたて”を売りにしています。
ただ、まったくのしぼりたてでは味が安定しないので、最低でも数日おいて酒を落ち着かせてからビン詰めするそうです。

今回味わった岩手県廣田酒造店の『今朝しぼり直送haruしずく』は、桃の節句の3月3日にしぼり、直ちにビン詰め。翌日にはあらかじめ予約した呑兵衛の手元に!という嬉しい趣向。

無濾過なので“うすにごり”があり、上澄みは上品な黄色味を帯びる。
さっそく味わってみると…
しぼりたてらしい新鮮さに溢れている。ただ、“フレッシュ”という言葉から連想する柑橘系の果実香・果実味ではない。
確かに果実を感じるのだが… なんだこれは?
柿だ!それも生柿ではない。干し柿とかあんぽ柿の香りと甘味がある。

生酛系の酸基醴酛(さんきあまざけもと)による仕込みで旨味たっぷり。一方で、しぼりたてならではのキレのよさもある。
精米歩合は55%で、カテゴリーとしては吟醸酒。酒米は地元岩手県産ぎんおとめ100%。アルコール度は原酒としては低めの16度。飲みやすいです。

ひとつだけ残念だったのは、ラベルがビニールシールだという点。しぼった当日にビン詰め、出荷という事情かと思ったら、裏ラベルは紙製でした。透明感を強調したいという気持ちは分かりますが、やっぱり表ラベルも紙がよかったなぁ~ と(笑)。

しかしながらこの経験、貴重でした。居ながらにして蔵人の贅沢!来年も予約しようとかたく心に決めました。