煎茶と桜餅

湯飲みに口を近づけた。桜餅の香りがほのかに漂う…

なにやら複雑な気分で迎える桜の季節。
首相主催の桜を見る会が中止になったのはヨシとしましょう。しかし、その闇は、ひとつも暴かれていない。

毎年この季節、桜の開花に先行して、「静7132」という煎茶を楽しんでいます。なんとも色気のない品種名は、静岡県茶業試験場が作り出したからだそう。開発当時の管理番号が、そのまま名前になりました。
ところが、この静7132、その名に似合わぬ艶っぽさというか、可愛らしさがあります。桜餅の香り(塩漬けした桜の葉の香り)がするのです。初めて飲んだとき、「なんだこの煎茶は!」と、もうビックリ。
静7132のお茶請けは、桜餅しかありません!それも、道明寺ね!と勝手に決めています。

「やぶきた」というメジャーな一品種が、栽培面積の75%を占める、なんとも多様性に乏しい日本茶の世界ですが、この間やっと、マイナーな品種が注目を集めるようになりました。しかし、その中でも、桜餅の香りは静7132にしかありません。

今飲んでいるのは、静岡県の元藤川地区で小西さんという方が無農薬で作った静7132。桜餅の他に、独特の甘味があります。渋みはほぼありません。
桜餅香は、クマリンという香気成分によるもので、実際に、桜の葉にも静7132にも含まれています。科学だな~っと。

で、強引に話を展開します。
世界中で感染が広がる新型コロナウイルス。まったく科学的な立場を取らずに、行き当たりばったりの対策で、混乱だけを招いている政府があります。もちろん、日本の安倍政権。

なにしろ、ウイルス検査に後ろ向き。検査しなかったら、どこに感染者がいて、どこにウイルスがいるのかを掴むことができません。軽症の患者が感染を広めるのを抑えることが不可能になります。そこには、防疫も科学もありません。

調べないから、データ上の感染者数は、他国よりも伸びが遅い。当たり前ですよね。
オリンピックが流れるのが、そんなに怖いのか… すでに風前の灯火だと思いますが。

「下手にデータを残すと、また、シュレッダーしなくちゃいけないし」とでも思っているのでしょうか?
とにかく、正確なデータ収集とその解析は、すべての科学的取り組みの基本中の基本。防疫においても、まったく同じでしょう。

「調べすぎると、医療体制が崩壊する」みたいなことを言ってる人もいますが、これは本末転倒。韓国のドライブスルー検査のような形にすれば、医療体制全体への影響は最小限にできるし、軽症の人には、きちっとした自宅での隔離方法を指導すればよいのです。
アメリカも検査が遅れていますが、ペンス副大統領が、検査キットの不足を正直に認めました。トランプ政権は一切評価しない私ですが、日本政府よりはマシですね。咳が出て、発熱しているのに、検査を断られる例が続出しています。

さてさて、暗~い気分で迎えた桜の季節。
静7132と桜餅から、ひとときの癒やしをもらいました。