灯台もと暗しでした。
わが家からきわめて近いところに、東京の名酒があったのです。東村山市の豊島屋酒造。醸造を始めたのは昭和初期ですが、ルーツは1596年に江戸の神田鎌倉河岸で始めた一杯飲み屋だというのが、なんとも嬉しい。関ヶ原の4年前だぜぇ!
何種類かの銘柄を作っていますが、フラッグシップはこの酒。『屋守』と書いて『おくのかみ』。通称はお察しの通り、“やもり”です。
今回飲んだのは、“中取り”。中汲みと同義で、日本酒を絞るときに、中程で得られる透明度の高い酒です。香と味のバランスに優れ、日本酒の「良い部分」と言われています。品評会に出てくる酒は中取りが多いそうです。
さて、屋守の中取り、色はほぼ透明。無濾過でこの色を出せるのは、中取りだからこそです。
見事な吟醸香が漂います(吟醸じゃないのに(笑))。酒米は広島の八反錦。香り高いとされる八反錦の魅力が存分に生きています。
生原酒をそのまま瓶詰めしているので、微発泡しています。味は濃厚でやや甘め。この甘さと微発泡が絶妙のバランスを醸し出します(二日に分けて飲んだので、二日目は微発泡が消えて、個人的にはちょっと甘過ぎになりました)。
そして驚いたのは、濃いけど、良い水の味がする!もちろん、水っぽいという意味ではありません。濃厚な日本酒の味わいの中に、間違いなく美味しい水の味がある。それが、この酒の品の良さにつながっている気がします。
蔵の見学も受け入れてるようなので、近いうちに行ってみようかな…