和をもって… 先割りの話

芋焼酎をどう飲むか… かつてはお湯割りが当然だったが、ここ数年のブームの中で出てきている少しばかり上品な芋焼酎は、ロックや水割りなどでも楽しめる。
そこで、先割り。焼酎を飲む数日前に水で割っておくと美味しくなると言う。「ホントか?」と思っていたが、ホントだった。

芋にしても、米にしても、麦にしても、若干の油分を持っている。その植物起源の油分は蒸留酒である焼酎にも微量だが残るそうだ。そして、油分にしか融けない香りや味がある。これが水分やアルコールと馴染むまでには時間がかかる。宮崎県日南市の芋焼酎メーカーで聞いた話なので、間違いないだろう。

蔵での焼酎造りでは、蒸留仕立ての原酒(70度以上ある)に水を加えて焼酎にする。この作業を「和水(わすい)」と呼ぶ。「加水」でないのがなんとも嬉しい。どこの蔵でも「和水」に最低三週間の時間をかける。理由は上記の通り。「和」とは、こういう時にこそ使う言葉だと思う。

私が出会った蔵の社長は「先割りは理にかなっています。蔵で行う和水と同じですから」と語ってくれた。最低一昼夜、できれば一週間以上置くと、先割り焼酎は抜群に旨くなる。先割りもまた「和(=「なごみ」と読みたい)」を生む。

私は最近、6対4の先割り焼酎を冷蔵庫で冷やしておいて、氷を使わずに大きめの猪口で飲むスタイルにしている。これなら飲んでる途中に薄まることもない。ささやかな「和」の時である。

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