『ジュラシック・ワールド/復活の大地』

『ジュラシック・ワールド/復活の大地』を観てきました。
近くのシネコンの大きめの箱。朝一だったので観客は6~7人。贅沢な気分で存分に楽しめた。子ども連れは吹き替え版に行くので、字幕版は余裕だったのかも知れない。
ジュラクックシリーズの7本目に当たるが、これまでの6本と決定的に異なる点が2つある。

まず、太古には存在しなかった恐竜が登場する。DNA操作によって生まれた遺伝子組み換え恐竜だ。非常に凶暴。超悪役だ。
(一部のサイトで、この映画に登場する遺伝子組み換え恐竜をミュータント恐竜と呼んでいるが、これは正確ではない。科学的には、「ミュータント(mutant)」は、自然界で発生する突然変異(mutation)によって、元の個体とは異なる形質を持つようになった生物を指すそうだ)
で、これって恐竜???といきなり思ってしまった。

ジュラクックシリーズの大きな魅力は、古生物学的に実在したとされる恐竜が、続々と出てくることじゃない? 遺伝子組み換え恐竜は単なる怪獣・怪物でしかない。
恐竜が画面に登場した瞬間に、「あれは、○○サウルスだ!」と言い当てる恐竜少年・恐竜マニアたちは共感どころか、興味を持つことすらできないのでは… と思った。
モンスター映画、恐怖映画としては、よく出来ているとは思うが、これは恐竜映画ではない。

もう一点は、出演者総入れ替えだ。
『ジュラシックパーク』の3本は、アラン・グラント博士のサム・ニール、イアン・マルコム博士のジェフ・ゴールドブラム、エリー・サトラー博士のローラ・ダーンを中心に回していた(2本目には、サム・ニールとローラ・ダーンは出てないが)。
『ジュラシックワールド』の前3作は、ヴェロキラプトルの研究者オーウェンを演じたクリス・プラットと、ジュラシック・ワールドの運営マネージャーで、その後、恐竜保護グループのリーダーとなるクレアを演じたブライス・ダラス・ハワード。良いコンビだった。
しかし今回… 全6作と被る出演者は1人もいない。
スカーレット・ヨハンソン演じるゾーラ・ベネットが主役。マハーシャラ・アリがダンカン・キンケイドを演じる。ゾーラとは互いに信頼し合う旧友だ。
ゾーラもダンカンも傭兵上がりで、製薬会社の営業担当が新薬開発のために仕組んだ恐竜のDNAサンプル採取計画に雇われる。
しかし、“傭兵”と言っても、過去の雇い主がCIAだったのか、民間軍事会社だったのか、外国政府だったのかは言及されていない。

スカーレット・ヨハンソンは、さすがだ!素晴らしい演技を見せてくれた。鍛え上げた肉体も輝いていた。最初、「ブライス・ダラス・ハワードもローラ・ダーンもいないのは、寂しいな」なんて思っていたが、すぐに忘れてしまった(笑)。
この映画自体が、どんな評価を受けるかにもよるが、主演女優賞ものだと思う。
マハーシャラ・アリには、泣きそうになった。この人、もの凄く上手い俳優だ。

「1%の金持ちのための新薬開発はよくない!すべての人々のために」というポリティカルコレクトネス的なメッセージが、比喩ではなく、ダイレクトに語られる。そのポリコレ自体は正しいのだが、あまりに直接的だったので、ちょっと苦笑いしてしまった。私が捻くれてるだけ?(笑)。

繰り返すが、恐竜映画として観に行くと、少し空振りするかも。怪物映画としては楽しめるでしょう。
で、続編、つまりジュラシックシリーズの8本目はあるのか…
島にはたくさんの恐竜が生き延びているので、作るつもりなのだとは思う。ただ、「遺伝子組み換え恐竜は、子孫を作ることができなかったので、1世代で死滅した」みたいな理屈で展開しないと難しい気がする。

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