…と言うわけで、このサイトでは極私的ワイン論を徒然なるままに書いていくことにしました。私の場合、ただ出会ったワインを片っ端から飲んでいるわけではなく、結構ワケありで飲んでいることが多いので、そういったストーリーを交えながら、まあワイン日記という感じで書いてみようかと… ワインは少しずつでも具体的にデータベース化していかないと身に付かないというのがこの間の思いです。ビールや日本酒はちゃんと舌と頭で覚えているのですが、どうもワインは難しい。なかなか味と情報が結びついていかないんですよね。 Last Update: 01/03/2004 |
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飲んだ日: 08/02/2004 2001年の春にフランス南西部のレ・ゼイジー(les Eyzies)村を訪ねた。このあたりはクロマニヨン人が描いた人類最古の洞窟壁画が多数残されている地域だ。あまりにも有名なラスコー洞窟まで車で30分くらいの距離だったと思う。 忘れられないのは、Hotel Les Glycines というホテルのレストランで飲んだ白ワイン。フルーティな中に明らかにハーブの香り、それもエストランゴンの香りを強く感じた。当時、それほどワインに興味があるわけではなかったが、「産地はどこか?」と質問した覚えがある。田舎のホテルだったが地元の若者と思えるソムリエ役が来て、「レ・ゼイジーではないが、近くで作っている地ワインだ」と説明してくれた。 それからずっとエストラゴンの香りのワインが気になっていた。「レ・ゼイジーの近く」ということはラングドックに違いない!と思って、機会がある度にラングドックの白を試してきたが、どうしてもエストラゴンの香りに再会することができないでいた。 ある時ふと思って、Googleで「白ワイン エストラゴン ハーブ 香り」といったキーワードで検索をかけてみた。やはり、私が思っているワインそのものは出てこないが、ロワールのソヴィニョンブランの中にプイィ フュメというのがあってハーブの香りを醸すという。ロワールではレ・ゼイジーからだいぶ北に行ってしまうが、試してみよう! というわけで、このプイィ
フュメというその名前が日本人には極めて発音しにくいワインにチャレンジすることになった。数本まとめて買ったのだが、その一本目がシャトー ド トラシィ。 シャトー ド トラシィのプイィ フュメ、飲んでみた。美味しい!フルーティと表してしまうが、ごく新鮮な、そしてピュアな、それも柑橘系のフルーツの香りがある。そして、次にハーブの香りが… しかしエストラゴンではない。何とははっきり言えないが青臭いハーブの香りが確かにある。識者たちに言わせると、他に石灰やアカシアの香りがするそうだが、私にはそこまで感じきれないし表現しきれない。 結果としては、シャトー ド トラシィは私の思い出に擦った程度。これではない!しかし少し近い。とりあえず手元にあと二本のプイィ フュメが残っているので、希望を持ってまた飲もう!
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飲んだ日: 12/02/2004 プイィ フュメの二本目である。はっきり言って失敗だった。偉そうに言うならあまり出来の良くない普通のソヴィニョンブラン。やや苦みのある柑橘系の香りが多少有ったが、全体的には非常にドライで、ふくよかさが無い。 先入観がハーブの香りを捜し、シャトー ド トラシィの贅沢な記憶が残っているものだから、余計に良くない。普通に「フランスの白ワインです」と出されたら、特に不満もなく飲める代物だったのだろう。キュヴェ ド ボワフルーリーにとっては不利なタイミングでの我が家への登場だった。 同じ細目に分類されるワインでも、これだけ違う。フランスワインの奥深さと難しさをあらためて痛感した一夜であった。 |
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飲んだ日: 14/02/2004 まず印象的だったのは、黄金色の輝きを見せるその色と完熟した果実の香りだ。 セルジュ ダギュノーが作られているのはロワールのサン・アンドラ地区。シレックスという土壌がプイィ フュメの特徴と言われる火打ち石の香りをソヴィニョン種のブドウにもたらすという。しかし、残念ながら私には火打ち石の香りを感じることはできなかった。大体、火打ち石の香りってどんなの? とりあえずプイィ フュメの三本を試したことになるが、エストランゴンの香りのするワインには出会えなかった。思い出のワインにたどり着くのは、なかなか難しいようだ。 |
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飲んだ日: 29/02/2004 種別: ナウサ 赤 年号: 1998 Name: NAOUSSA 1998 BOUTARI ナウサ 1998 ブターリ 買った所または飲んだ所: ワイナリー和泉屋 ギリシャを代表する赤ワインだ。ギリシャ北部のナウサ地方にだけ古くから伝わるキシノマブロ(Xinomavro:クシノマブロとも記す)という葡萄種で作る。 1999年に仕事でギリシャ全土を回ったことがあるのだが、その時にもっとも記憶に残ったワインが「ナウサの赤」だった。ブターリ社のワイン貯蔵庫にも入り、ズラリと並んだ木の樽に圧倒されたのを覚えている。同社はナウサにあるギリシャ最大のワインメーカー。 地元の人たちは「ナウサこそがヨーロッパワインのルーツだ!」と語る。そりゃ、ヨーロッパ文明がギリシャから始まっているのだから、そういうことも言えるかも…
ギリシャでは、紀元前4世紀に今日のAOC(原産地呼称統制法)に近いワイン法が制定されていたという記録もあるそうだ。紀元前4世紀といえば、アレクサンドロス大王とその父・フィリッポス2世の時代。ナウサのあるギリシャ北部・マケドニア地方は、アレクサンドロス大王の故郷でもある。 さて、今回のナウサの赤。とにかく葡萄そのものの味と香りが伝わってくる。ドライな味わいで、苦味・甘味・酸味のバランスも程良い。香りも高く、全体としての完成度はかなり高いと思う。スペインのリオハに似たところもある。 |