2016年-申年『猿梨のフルーツサラダ』

Fruit Salad with Actinidia arguta

来てしまった… 申年が! 『mslabの干支のお料理』にとっての最難関です。
12年前は、「ヤマブシタケ=猴頭菇(=テナガザルの頭のような茸)」で乗りきりました。
さぁ、2016年は?

『猿梨』の登場です!
マタタビ科マタタビ属の果樹。東アジア原産で、中国、朝鮮半島、日本列島、シベリアに自生しています。
日本では、本州中部以南の山岳地帯に見られ、野生猿の大好物ということで、猿梨という名前が付いているそうです。
長野県、岐阜県、山形県、香川県などでは栽培もされています。
学名は Actinidia arguta。
英語で、Hardy Kiwi、Baby Kiwi、Cocktail Kiwiと呼ばれるように、形も味もキウイフルーツに似ています。

酸味はキウイよりも強く感じます。 大きさはグッと小さく、2~3cm程度で、果皮は無毛でツルッとしています。 生物学的には、キウイフルーツと親戚ような関係にあります。
ただ、「野生種のキウイ」とか「キウイの原種」と表現するのは間違いで、「猿梨とキウイは同じ先祖から進化した」とするのが正しいようです。

で、思い当たるのが、猿と人類の関係。「人類は猿から進化した」と大雑把に言われることがありますが、正しくは、「人類も猿も同じ先祖から進化した」です。某世界一の強国には、いまだに「人類だけは、1万年位前に神様がガラガラポンしてお造りになった」と信じている人々が何割もいるというのですから、信じられません。
一方、2014年のサッカー・ワールドカップの際に、ネイマールたちが人種差別に反対して叫んだ「オレたちはみんな猿だ!」というメッセージは熱いものがありました。

さて、話を猿梨に戻しましょう。
今回入手したのは、国内で栽培された猿梨。収穫時期が9月から10月頃なので、止むなく冷凍品を入手しました。
生食の他、ジャムにして食べることもできますが、今回は、他の果物と合わせて、フルーツサラダ(フルーツカクテル)にしました。 グレープフルーツ、ブルーベリー、ラズベリー、パイナップル、ドラゴンフルーツを使いました。
ドラゴンフルーツは辰年用に取っておきたかったのですが、ここは彩りを考えて、あえて決断。
フルーツサラダは、柑橘類やパイナップルなど果汁の豊かな材料を加えると、ドレッシング無しで十分に美味しくなります。今回もドレッシング無しです。
さらに、見た目と名前は派手だけど、イマイチ味にインパクトがないドラゴンフルーツに、他の果汁が絡むととても美味しくなるという新発見もありました。 この組み合わせでは、猿梨の酸っぱさが、全体にシャキッとした緊張感をもたらしました。酸味がある分、普通のキウイよりも強く存在感を主張します。

アメリカでも、ヨーロッパでも、そして日本でも、間違いなく人種差別は存在しています。馬鹿げたことから、そろそろ人類は足を洗わないと… 猿梨を食べながら、「We are all monkeys!=オレたちはみんな猿だ!」という素晴らしいメッセージを再び心に刻んでいます。

2004年-申年『XO醤炒猴頭菇』

XO jiang hou tou gu

猿料理といえばインディジョーンズ!という話もありましたが、さすがに猿の活 け作りは厳しいものがあります。これはかなり苦しい… しかし!真面目に取り組んでみたらあったんですね。申年料理が。

栄えある申年料理の食材として選ばれたのは薬膳としても人気のあるヤマブシタ ケです。

中国では「猴頭菇(ホウトウクウ)」。その意は「テナガザルの頭のよ うな茸」です。なるほど、そのモサモサした感じが猿の頭そのものです。日本で は山伏の衣飾りに似ていることから、ヤマブシタケと呼ばれています。かつては 国内でも自生していたそうですが、今ではまったく見られないとのこと。現在、手に入るのは栽培されているものです。

世の中あまりいい話がなかった2003年を引きずるように始まった2004年。テナガ ザルのように枝から枝へと軽快に渡りながら下界を達観できれば、新しい道が見 えてくるのかも… なんていうのはお気楽すぎ!?

レシピ:

材料:ヤマブシタケ・生ホタテ・エビ・ブロッコリー・清湯・クコの実・ニンニ ク・根生姜・片栗粉・XO醤

1. ヤマブシタケを一口大に割りほぐす。ブロッコリーは一口大に切り分ける。
2. 生ホタテとエビに塩・酒・胡麻油・片栗粉で下味を付ける。
3. 中華鍋に熱湯を沸かし塩とサラダオイルを加え、ヤマブシタケ・ブロッコ リー・生ホタテ・エビをそれぞれ別々に茹でる。
4. 中華鍋にサラダオイルを熱し、ニンニクと根生姜のみじん切りを炒め、香り が出てきたらXO醤を加える。茹で上げたヤマブシタケ・ブロッコリー・生ホタテ・ エビと水で戻したクコの実を加え、清湯と醤油を加え、最後に水溶き片栗粉でと ろみをつける。鍋肌から胡麻油少々を流し込んで完成。