古備前よりも昔の備前焼

最近気に入っている器。備前焼の湯呑みです。色はホントに灰色。
備前焼が赤茶色の独特の色合いになったのは、鎌倉時代だといわれます。その後、室町、桃山の時代に茶道と出会うまでが『古備前』。

呼び方がややこしくなりますが、古備前以前の備前焼があります。朝鮮半島から焼き物の技術が伝わり、古墳時代から始まった備前エリアでの窯業。土器と陶器の中間に位置する炻器(せっき)の一種、須恵器(すえき)が焼かれました。
閉ざされた穴窯(あながま)で焼成するため、酸素の供給が不足し、還元焼成になります。灰色とか青灰色の発色は、粘土中の赤い酸化第二鉄が還元されて黒い酸化第一鉄になるという理屈です。

手に入れた湯呑みは、備前須恵器の焼成法を再現したきわめて古いタイプの焼き物。最初に手にしたとき、ホントに無彩色の灰色なので、「ちょっとやりすぎたか!」と躊躇もしたのですが、使ううちに深い愛着が。
まず堅い。普通の備前焼よりも明らかに堅いです。肌触りは石に近いものが… 小石が入ったままの粘土を使っているので、いくつかの石爆(いしはぜ)が見られ、味わいを深めています。

煎茶用の湯呑みですが、大振りのぐい呑みとしても使えます。冷凍庫で冷やすと、指が張り付くくらい冷えます。これは、還元焼成よって粘土内の気体酸素などが抜かれているせいでしょう。石に近い堅さを感じるのもそのせいだと思われます。

備前の作家、好本敦朗さんの作品。
久々にいい器に出会ったという実感が… 指先から伝わる感触が、遠い昔の瀬戸内へと想いを誘ってくれます。

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