ミルクの香りの台湾茶

20050723これはお茶なのか… まず、茶葉の香りを嗅いでビックリ。
金萱茶系のお茶は、大体「バニラの香り」とか「ミルクの香り」とか銘打たれているが、今回のナイ香金萱(ナイシンジンシャンと読むらしい。ナイは女+乃)は格別だ。前にも何種類かの金萱茶を飲んだことがあるが、「まぁ、バニラと言えばバニラか」という程度だった。ナイ香金萱は飛び抜けて良い。念のために記すが、フレーバーティではない。

茶葉自体の香りは甘味が立っているが、実際に煎れてみると、青茶の苦みを甘い香りが包み込む… そんな感じになる。購入元は「リーフストア」(下の静止画をクリック)。この店、オリジナルの茶缶も洒落てて良い。

しかし、日本茶にも紅茶にも絶対に有り得ない不思議な香りと味。中国茶の奥深さに、ズブズブとのめり込みそうだ。

Jasmine Pearl

20050721ジャスミン茶の中での優れものと言えば茉莉白龍珠。「モーリーバイロンジュ」と読むらしい。英語では「Jasmine Pearl」。美しい!

ジャスミン茶といえば、安物の緑茶に無理矢理ジャスミンの香りを吸わせたような印象があるが、茉莉白龍珠に関しては、まったくそれは当たらない。福建省でのみ作られる高級ジャスミン茶だ。
凍頂烏龍のように茶葉は小さくまとめられ、白茶を使っているので所々が白く見える。その様を真珠に例えている。

ここのところ、暑い日が続くので、茉莉白龍珠を冷茶にして楽しんでいる。
1リットルほどのガラス容器に大さじ一杯の茉莉白龍珠。そこに、100CCほどの熱湯を注ぐ。15秒もすると茶葉が開いてくるので、容器一杯まで冷水で満たす。3~4時間ほど冷蔵庫で冷やしてから茶葉を漉し取れば、実に上品なジャスミン冷茶ができあがる。

宝山蒸撰紅東酒精乃雫

20050710やっと、宝山蒸撰紅東酒精乃雫(通称「宝山紅東」)を口にした。
これは凄い!
34度なので五分五分の先割りを一昼夜前に作っておいて、オンザロックと飲み比べたが、五分五分でも芋の風味が薄れていない。逆にアルコールが強く当たらない分、先割りの方が旨い!口に含む前の香りだからアロマか… これが見事に来る。

それにしても、6:4の割は誰が決めたのだろう。確かに薩摩系の25度の芋焼酎を6:4にすれば15度になって、日本酒程度のアルコール度数になる。宮崎系の20度を6:4にすれば12度だから、これはワイン程度だ。食中酒としては日本酒やワインは実に良くできて、このアルコール度数は黄金律とでも言うべきものなのだろう。

さて、宝山紅東をどう割るか… 6:4では濃すぎるのは明白だ。「あまり薄くしすぎてももったいない」という貧乏根性がはたらいて、とりあえず五分五分で割ってみた。日本酒の原酒並の度数ということだ。次は4:6で試してみようか… 度数的にはOKだが、やはりちょっともったいないかな。

ぐわんばれ!日本茶

自分で中国茶にはまっていながら、日本茶のことが心配になってきた。と言っても、抹茶は庶民のものとは言いがたいし、番茶ではあまり論ずることもない。中国茶と比較するなら、文化的にも価格帯的にも煎茶だろう。

ところが、前に書いたとおり、日本の茶木は大半がヤブキタで占められており、味も香りも多様性がない。煎茶を飲んで「これは狭山だ」「いや静岡だ」「なんのなんの宇治に決まっている」なんて言い当てることは不可能に近い。一方、中国茶は少し飲み付ければ、凍頂や東方美人を外すことはない。「中国茶の方が大雑把で、日本の煎茶は繊細なんだ」と言ってしまえばそれまでだが、気候や地質などでお茶には本来多様性があるはずだ。それが感じられないのは寂しい。

器はどうだろう。煎茶は60℃~80℃で煎れるとされるが、そのためには湯冷ましが必要だ。また、急須ではなく宝瓶を使いたい。宝瓶に取っ手が付いていないのは、熱湯で煎茶を煎れないための知恵だと思う。また当然、湯飲み茶碗ではなく、小振りの汲出で頂いてこそ煎茶の味が分かる。汲出はぐい飲み程度の大きさがよい。
しかし、東日本ではデパートでさえ、宝瓶+湯冷まし+汲出という煎茶器揃いはあまり売っていない。陶磁器の種類で見れば、備前と萩がこの手の煎茶器揃いの主流で、他に常滑や有田で多少見ることができる程度だ(他はゼロという意味ではない)。
このように、器から見ても、真面目に煎茶に取り組む姿勢が感じられないのが現状だ。

備前と萩で煎茶器が充実しているのは偶然ではない。中国地方の山間部では、多くの家庭に煎茶器があり、男たちが客に煎茶を振る舞う姿によく出くわす。長年の農作業でゴツゴツした太い指先で、小さな宝瓶や汲出を扱い、見事なお茶を煎れてくれる。ここには豊かな煎茶の文化が残っていると感じたものだ。「絶対に焦らず、湯冷ましで十分に湯を冷ましてから煎れるのが唯一のコツだ」と教わった。しかし、こんな風景に関東で出くわすことは、まず無い。

ちなみに、私自身は萩の煎茶器揃いを使っている。久々に一保堂茶舗の煎茶(そんなに高くないもの)を買ってみた。80℃以下で煎れれば、確かに甘味が出て美味しい。しかし、艶やかさが無く、ちょっと寂しい。侘び寂だからしょうがないか…
産地表示が無いのはお店独特のブレンドだからなのだろうか…

いずれにしても、煎茶にもう少し頑張って欲しいと思う。

芋焼酎のイモ

芋焼酎の原料は、ほとんどがコガネセンガンと呼ばれる焼酎造り専用の甘藷(サツマイモ)だが、最近、食用の甘藷を使った焼酎が少しだが登場してきている。

まずは宮崎県日南市の京屋酒造が作る甕雫だ。陶製の容器の話題が先行して、超品薄の人気焼酎になっているが、焼酎としての完成度も高い。独特の甘味を感じさせながらスルッと飲める芋焼酎だ。焼き芋にすると美味しい紅東系の紅寿を原料にしている。宮崎焼酎らしくアルコール度数20度を守っているのも頑固で良い。

東京近郊在住なら、新宿宮崎館KONNEでの入手がお薦め。
ネット上では、不当なプレミアム価格を付けている店が多いので要注意。定価は1.8リットルが3,990円、0.9リットルが2,783円だ。

食用甘藷の芋焼酎でもう一つ注目は、富乃宝山や薩摩宝山の鹿児島・西酒造が造る宝山蒸撰紅東酒精乃雫(略して、宝山紅東)。文字通り、紅東を使っている。この宝山紅東も超品薄の芋焼酎だが、昨日、もらい物で頂き、やっと試すことができる。20050710

ちなみに、コガネセンガンは晩夏から冬にしか流通しないので、普通、春から夏にかけて芋焼酎の仕込みはできない。しかし、紅東などの食用甘藷は年中流通しているので、通年生産が可能になると言う。一方、原料コストは食用甘藷の方が高い。焼酎造りの細かいノウハウも違うので、技術が高く冒険心のある蔵しかコガネセンガン以外の甘藷に手を出していないのが現状らしい。

うるち米と言えばコシヒカリ、酒米と言えば山田錦、そして焼酎米と言えばコガネセンガン… 紅茶や中国茶には多種多様な茶木があるのに、日本茶はほとんどがヤブキタ茶という種類で作られている。ヨーロッパではワインを作るためのブドウの樹も多種多様だ。どうも、日本人は、少しばかり受けがよいと右へ習え!で、気候や風土、地域の歴史の多様性をポイッと捨ててしまう傾向が強い。
それに抗して進む、食用甘藷による芋焼酎造りに私は注目してみたいと思う。